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absolute zero

DRRR!!、タイバニに首っ丈な小説ブログ

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敢えてオチの分かる王道をやってみたかったわけで

突き指が治りません、卯月です。
病院には通わなくて済むようになったけど、相変わらず腫れてます。
明日ピアノ弾くんだけど…!(爆)

で、小説です。
今回は多分…読み始めて数行でオチが読めるような気がします(爆)
敢えて、と言いましたが…一度でいいからこのネタやりたかったんだもん!
折角スポーツに関係するアニメなんだし!すいません、全て言い訳です。

しかし、セラ初登場でこんな役回りにしてしまうと後に固定してしまいそうで。
ヒロイン(ウィキペディア談)なのにね!…セラがヒロインなんだー…














飲み物を取りに行った帰り道、偶然通り掛かった部屋の中から物音が聞こえた
気がして、セラは足を止めた。
人がいるなら物音がしてもおかしくはないのだが、この部屋はアイスマンの部屋
だった。ここの主は夜中、眠る時くらいしか部屋に戻らない為、まだ日の明るい
時間から部屋に戻っているのは珍しい。
しかし、珍しいとは言ったものの、部屋にいる事自体は不思議ではないので、そ
んな日もあるのか程度でその場を離れようとした。
が、

『――はっ…ん』

まだ湯気の立っているお茶の入ったマグカップをうっかり手から放してしまい、
気が付くとクローリーがカップを必死に支えてくれていた。慌てて持ち直して
ほっと息を付くと、クローリーから気を付けなさい、と注意をされた。
今度はカップを落とさないようにしっかり持って、扉に近付く。明らかに先程
の声は部屋の主の物では無い上に、よく知っている声だった気もしたからだ。
そっと物音を立てないように扉近くで耳を澄ませると、声の他にベッドのスプ
リングが軋むような音が耳に入った。

『ぐ…ぅっ、も、やめ…熱…っ!』
『こんなにしといて今止める方が辛いですけど…それでも止めます?』
『…っ、おま、意地悪ぃ…んっ!』
『ここ、いいんですか』
『そこっ…は…っ!気持ち、いいけど…っ、んん…!」

耳を澄ませてわざと聞こうとしていたとはいえ、中から漏れる会話を聞いて思
わず固まってしまった。半ば予想していた様な会話内容だったが、実際に聞
いてしまうと心の整理がつかないというか。

「……セラ」
「なっ、何…?クローリー」
「盗み聞きなんて野暮な事は止めた方がいいわよ」

扉に手を掛けた状態になっているセラを咎めるようなクローリーの言葉に息
を詰まらせる。本当はこんな真似はしたくないのだが、言ってしまえば好奇
心には逆らえなかった。

「…とか言って、本当はクローリーも気になるんじゃない…?」
「…まぁ、気にならないと言ったら嘘になるわね」

顔を見合わせた一人と一匹は結局その場を離れることを止め、出歯亀と言っ
てもおかしくない行為を続行することになった。
…『出歯亀』という言葉が女である自分に当てはまる事実に些か疑問を覚え
るが。普通此方が覗かれるなり何なりされる方なのに。
女としてのプライドを若干傷付けられた気分になって軽く落ち込み始めたセラ
だったが、部屋の中から悲鳴の様な声が上がった事で身を強張らせた。

『ちょ、ま…っ、アイスマン!そこは関係ねぇだろ!?』
『でも此処までやったらここも…もしかして、されたこと無いんですか?』
『んなの無いに決まって…う、あぁあっ…!ちょ、そこやだ…痛ぇ!』
『こらダン君、力を入れたらもっと痛くなるだけですよ。ほら、力を抜いて…』
『だ、から…痛い…!く、ぅあっ!』

解っていたから今更だが、其れでも名前までしっかり判明してしまった。昼間
から男同士でナニしてんだか知らないが、セラは段々居たたまれなくなってき
た。今からでも止める?とクローリーが再び聞いてきたが其れこそ今更だろう。





が、しかし。


――~っ!!痛いって…言ってんだ、ろっ!?』
『ぐぁ…っ!ダン君、鳩尾入ったんです、けど…っ』
『うるせー!肩なんて足の筋には関係無い上に痛ぇだけだろ!?』
『ドンマイですよ、何時の日か関係無いなんて言えない時が来ますから』
やっぱ今は関係無いんじゃねーか!しかもタオルを熱湯に浸けんじゃねぇ!』
『手っ取り早く患部を温めるのに有効ですよ?』
火傷するだろがぁぁ!


――は…?

先程までの妙な艶やかさは何処へやら、ぎゃあぎゃあと騒ぐダンの声を聞きな
がら、セラはその場で激しい脱力感に見舞われた。

足の筋、肩、患部。これらの単語で示されるのは。

ま…マッサージ…?
「…だったみたいね」

妙な言い回しといい、あの嬌声に似た声といい、紛らわしいにも程がある。
しかし、勝手に勘違いして盗み聞きをしてしまった自分達にも非はあると気付い
たセラとクローリーは互いに顔を見合わせ、バレない内にその場を離れようと扉
に背を向けた刹那。

「――先程から聞き耳を立てていたようでしたが、私に何か用ですか?」

背後から扉の開く音と同時に低く響く声を掛けられる。ぎぎぎ、と軋む音が聞こ
えそうなくらいに首だけでゆっくり後ろを振り向くと、表面上は爽やかに微笑んだ
この部屋の主が扉にもたれ掛かりながら立っていた。しかし、それ以上何も言
わずにサングラスのブリッジに指を掛けて位置を直している。
いつから気付かれていたのかと咄嗟に考えを巡らせたが、既に解っている。多
分、扉の前に来た時からずっとだろう。
と、いうことは。
セラは目の前で食えない笑みを浮かべる男を愕然と見詰めた。

「なんだ、セラもコイツに用事が…あ?」

男の近くに来て怪訝そうな顔をしたダンが、微妙な雰囲気を作り出している二人
に交互に視線を向ける。が、特に思うところが無かったのか、それとも気にしない
事にしたのか何事も無かったかの様に一旦口を噤むと、アイスマンの方に向き
直った。

「確かに足の痛みは楽になったんだけどよ、やっぱ必要の無い場所が多い気が
すんだけど…」
「ダン君は若いですからね、無茶な動きをして身体を痛める事はあっても凝る事
はまだあまり無いですよ」
「……何だか納得いかねぇけど、一応サンキューな、アイスマン」
「いえ、私でよければいつでも力になりますよ…あ、それ以上は患部を揉んだりし
ては駄目ですよ。やり過ぎると悪化しますから」

おー、と曖昧な返事をしたダンは急に立ち上がった所為か、覚束無い足取りで部
屋に帰っていった。
それを見送る形になり、ダンの背中が見えなくなった辺りでセラは徐に口を開く。

「……もしかしなくても、わざとだったでしょう?」
「何の事やら。私は普通にマッサージをしていただけですし」
「……普通、ねぇ」

いけしゃあしゃあと宣った目の前の男は苦笑するように紅い瞳を細めると、使っ
ていたタオル等を片付ける為に部屋に戻ろうとしたが、何を思ったのか引き返し
てきた。

「熱湯を沸かすのに簡易コンロを使っていたのですが…」

セラは何を言いたいのか解らないと言いたげな顔で相手を見ていたら、手に持っ
ていたカップを指差してから、「それ、温め直しましょうか?」と一言聞かれた。
何だか頼むのも癪だったので、セラは言葉で断わる代わりにカップに入ってい
るお茶を一口含む。
冷めかけていたお茶と微笑みを湛えるアイスマンの視線に、無駄なことに時間
を使った事を指摘された気分になった自分が情けなくなって、深い溜め息をつく。



セラは部屋に戻ることを止めて、一気に冷めたままのカップの中身を飲み干した。

 

 

 



センス・オブ・リグレット

(そんなオチなんじゃないかって思ってた筈なのに騙された!)
(でも後から悔いても時間は戻らないのよ、セラ)




09.6.24

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comment

無題

  • 七瀬 
  • 2009/06/24(水) 23:06
  • edit

あぁ…うん。
オチはわかりました(笑)
しかし好きだよ!こーゆーの!!

ごちそうさまでした←

無題

  • 水城こーや 
  • 2009/06/24(水) 23:44
  • edit

こうゆうネタ大好きだ!
むしろ大好物www
書いてくれてありがとう!

ご馳走様でした●^□^●

無題

  • キノ 
  • 2009/06/25(木) 12:05
  • edit

こんにちは!2回目の投稿になります!

タイトルからなんとなく予想はしてましたが、
やはり萌ました!(笑)そして仕事中なのに叫びました(汗)
ブログ通ってます!頑張って下さい!

一気に返信ですがすいませぬ

  • 卯月 
  • 2009/06/25(木) 21:03
  • edit

こんな駄文ですいません、読んでくださって有難う御座います!その、皆…ね(知り合い率高し)
でも、上二人はメールで返しちゃったので省略。

二回目まして、キノさん。
通ってくださっているとの事で…更新率低いブログですいません。
仕事中に読んでくださって…仕事中!?
色んなジャンルの混ざったブログですが、バスカッシュも頑張って書きます。キノさんもお仕事頑張って下さい!

これは描けないなぁ…

  • 日向陽 
  • 2009/06/26(金) 02:43
  • edit

いや、セラの妄s想像を描くってんなら萌eやりがいあるけど…。でも一気に禁制!!(笑)

一回はやっておきたいネタだね!王道ってのは、皆が好きだから王道っていうのさ!!
美味しかったですご馳走様。

ダン君の艶やかな声聞きた(黙れ

どうもです

  • 卯月 
  • 2009/06/26(金) 22:29
  • edit

何か、さり気に読んでいますね日向さん…
いや、有難う御座います。こんな文ですが。
最後の一文に関して言えば、ノーコメントで。

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