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absolute zero

DRRR!!、タイバニに首っ丈な小説ブログ

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今日の卯月は一味違う(当社比)

再びこんにちわ、卯月です。
さっき、家の階段で転びました。泣きたくなるほど痛かったです。


それもともかく。
今度はボカロネタをば一本。久しぶりだというのに、何故マスミクなのか。私が書きたかったからだ!
この組み合わせはほのぼのと、少女漫画っぽい甘さが出せて楽しいです。ただ、途中で砂を吐きたくなるね!















「あー!!」

突然、キッチンから謎の悲鳴が上がった。
洗濯物を畳んでいた手を止めて悲鳴の上がった方向を向くと、バタバタと騒が
しい音を立てながらマスターが走ってやって来た。
クマのアップリケ付きのエプロンを身に付け、お玉を握り締めたマスターはきょ
とんとしているだろう私を見て、うるりと瞳を潤ませる。
あ、泣いちゃう。そう思った直後、案の定泣いたマスターが、有ろう事か私に抱
き付いたのだ!
私の頬にマスターの髪が擽る。背中に回された手が温かい。顔のすぐ近くでマ
スターが啜り泣くような声が聞こえる。加えて、涙声で「みくぅー…」と名前を呼
ばれる始末。
もう、色々と、許容量越え状態だ。顔から頭部にかけてが熱暴走を起こしてし
まいそうな程、熱い。

「ま、まままま、ますたー…っ!どっ、どど…どうした、の?」
「どーしよミク!シチュー作んのにルーを買い忘れちゃって!」
「シチューの、ルー…?」

もっと重大な事かと思っていたが、考えてもいなかった事を言われて少し拍子
抜けした。
しかし、マスターが困っているのならどうにかしなければならない。確か、何か
それっぽいモノの買い置きが無かったかと思考を巡らせ、マスターをくっ付けた
まま台所に向かう。
冷やさなくていい食料保存場所である戸棚を開けたが、シチューのルーは見つ
からなかった。
それっぽいモノで、カレーのルーはあった。…少し惜しい。

「んー…」

野菜、肉を煮込むといい過程は同じなのだから、いっそカレーにしてもいいかな
とちらりと考えた。が、明日の朝用のご飯しか炊かなかった為、カレーにした場
合は半ば地獄を見ることになる。ご飯無しのカレーは淋しすぎる。
他に何があったかな、と台所を探し回ると、戸棚に小麦粉、冷蔵庫には私が無
理言って買って貰った牛乳とバターを発見した。…機械だから大きくもならない
が、それでも牛乳を飲むのは気分的な問題だ。
マスターは牛乳を飲まないから充分過ぎる量がある。これだけあれば足りる、
と思う。

「マスター、手間が掛かっちゃうけど…私がルーから作ろうか?」
「………」

喜んでくれるかと思っての提案だったのに、マスターの表情は晴れない。もしか
したら余計な事を言ってしまったのだろうか。
マスターの役に立ちたかったのに。また失敗しちゃった、そう思うと自然と気分
が落ち込んできた。
すると、マスターが急に慌てて私から離れて、困った顔を此方に向けた。

「み、ミク、そんな顔すんな!違うんだ!」
「そんな、顔…?」

そんなってどんな、と続けたかったが、それよりも早くマスターが言葉を続ける。

「ミクが作るって言ってくれたのは嬉しいんだけど、今日はオレが作りたかったんだ」

今日はオレが作るから!と意気揚々と料理を始めたのは記憶に新しい。マスター
が料理なんて珍しい、そう思ったことも覚えている。
其処まで告げたマスターは暫くの間、あーとかうーとか呻いていたが、見られた
く無かったのか突然顔を背けた。


「……その、何時もミクにやって貰っちゃってるし、負担が減ったらなって思って…」


恥ずかしそうにそう呟いたマスターの耳が真っ赤だった。
けれど、マスターの言葉の所為で私の顔も負けず劣らず真っ赤だったに違いな
い。嬉しさと恥ずかしさで一気に顔の体温が上昇したからだ。
言った方も聞いた方も顔を赤くしていたら目が合ってしまった。暫くそのまま固ま
っていたが、何だか逆に笑えてきてしまい、互いに顔を見合わせて噴き出してし
まう。

「…じゃあマスター、一緒にお買い物に行く?」
「行く!」

笑いを堪えながら聞けば、即答で返事が返ってきて。私と同じように笑顔のマス
ターは「すぐ支度すっから待ってて!」と元気よく部屋を飛び出していく。
その直後、鈍い音と共に「い…っだぁぁぁ!」というマスターの悲鳴が聞こえてき
て、私は注意をするべくマスターを追って部屋を後にした。









マスターの料理が完成するのは、当分先になりそうだった。














(困ったり笑ったり怒ったり悲しくなったり)
(忙しいけれど、私は幸せです)




09.8.11

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