忍者ブログ

absolute zero

DRRR!!、タイバニに首っ丈な小説ブログ

[PR]

×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

三ヶ月ほど前に放置してた産物

前回の更新から約一ヶ月、卯月です。
放置しすぎですね、なんでだ!

えーと…
今回のは随分前から放置していた話を発掘、更に続きを書いたものです。
久しぶりにバスカだ!いや、前回もバスカでしたね。
総じて言うならば、アイスマンが報われない…(爆)










某月某日。
ダンは見てはならない物を見てしまった。
偶然引っ掛けて落としてしまったファイルから大量の写真が溢れ出したのだ。

「………」

しゃがんで床に散乱した写真を数枚確認する。写真に写っているのは自分、アイスマン、
セラの三人に多少だがはるか、ミユキの物が混ざっていた。
つまりは、チーム『バスカッシュ』のブロマイド、悪く言うなら無許可の隠し撮りだ。
絶対に試合中だと判るような写真から普段の姿を撮ったような写真、
セラやはるかは何処のグラビアアイドルだとツッコミを入れたくなるような物まであった。
一体誰が撮った物なのか、ダンは考えてみたが、背筋がぞっとしただけで終わってしまった。

「あっ!何してくれんだ、ダン!」
「あー、見事にバラバラだねぇ」

トレーラーの入り口付近からの声に反応して顔を上げると、
ベルとガンツが此方に向かってくるのが視界に入る。
まったく、と呟きながら床に散らばる写真を拾い集め始めたガンツに一寸待てや、と声を掛けた。

「ちょ、ガンツ…何だコレ」
「何って、販売用に撮った写真だよ」
は、はんばいだぁぁぁ!?

さも当然の様に告げられた言葉を復唱する形で叫んでしまった。そのすぐ傍にいた二人は慣れたもので、
ダンが叫ぶ直前に耳を塞いでいる。
販売、それは即ち現在この手元にある写真類が見ず知らずの人々の手に渡る訳で。
被写体が撮られた事も知らないような写真類が無許可で!
写真を撮られた本人としてはせめて相談くらいは、とダンが主張すると、
ベルとガンツは互いに顔を見合わせた。

「アイスマンにもセラにも許可を貰ってるよねぇ?」
「写真代の一部は本人にも渡してるしな」
「な、何で俺だけ貰って無いんだよ!?」
「何でって」

何を解りきった事聞くんだ、とでも言いたそうな顔をしたガンツが
同じファイルの中から写真とは違う大きさの紙を一枚取り出す。
何の紙かと思い覗き込んだダンは、そこに書いてあった文字が目に入った瞬間に
「あ、」と微かに声を上げてしまった。
書かれた文字は只の数字だったが、見覚えが有りすぎた。
左から右に向かって大量に書かれた0の多さが目に痛い。

「ローリン競技場を破壊した時に出来た借金の返済費用になってんだからよ」
「地道に返済してるんだよぉ」

そう言えば借金王なんていう不名誉な呼び名が付けられていたな、等と考えながら、
余り思い出したくなかった事実に痛む頭を押さえた。ローリングタウンを離れるまではダンガン便で
荒稼ぎをしたが、減った金額など微々たる物だった記憶がある。
それでも、と見たくもない紙に視線を移すと記憶にあった金額から若干ではあるが減っているようだった。
若干と言っても、写真を売っただけにしてはかなりの金額だ。万単位では減っている。

「……写真ってそんなに売れるのか?」

だって高くても一枚何百幾らかで売るもんだろ。
そんな事を言いながら疑問を口にすれば、ベルが何処からかノートを取り出して捲り始めた。

「ダンクマスクは老若男女問わず人気があるからねぇ、結構飛ぶように売れてるよ?」
「へー」
「後は、ツーショット写真とかかなぁ」
「へー…、はぁ!?」

サインをよく書かされるようになったし、と鼻高々になりかけたダンは、
その直後に聞こえた単語に思わずすっとんきょうな声を上げる。
ツーショット写真。二人で写っている写真のこと。そんな事は幾ら頭の回転が遅いとか
不名誉な事を言われているダンでも直ぐに理解出来る。

…………俺が、誰と?

たっぷり数十秒、あらゆる組み合わせを考えてから恐る恐る訊ねてみた。
すると、ベルがさも当然そうな口振りで答えてくれる。

「ダンがアイスマンと、に決まってるよぉ」

女の子と一緒に写ってる写真なんて普通売れないよ、と笑いながら話す二人の声を
ダンは聞き流して写真のファイルに手を伸ばした。
さっきは気がつかなかったが、確かに自分が一人で写っている写真より
アイスマンとセットの写真がやたらと多い。ついでに言うなら女子二人とかも多かった。
何か、やたらと距離が近いというか顔が近いというか。
本気で一体いつ撮ったんだ、と言いたくなるアングルの物も多いが、それよりも気になる事は他にあった。

何と無く、気付いてはいた。
やたら距離の近い写真は自分とアイスマンのものばかりなんだが。


その理解しがたい現実に、ダンが思わず頭を抱えた瞬間、

「――ダン君?」
「ぎゃあ!?」

いつの間に近付いていたのか気が付かなかったが、ほぼ真後ろから自分のものより
低い声で名前を呼ばれた。予想もしていなかった事態に思わず悲鳴を上げる。
咄嗟にくるり、と後ろを振り向いて、更に悲鳴を上げる羽目になった。
身長差を考慮してか、中途半端に屈んだ体勢をしていたアイスマンと、
普通に立った状態で振り返ったダンの顔の距離がこれまた異様に近かった。
無意識なのか、動揺している自分を見てアイスマンがキョトンとした顔をしているのがまたムカつく。
兎に角、一旦離れて、と言おうとしたと同時にシャッター音。
何事かと思って即座に首を巡らせれば、何処から出したのか知らないが、
カメラを構えたガンツと目が合った。

「はい、毎度ー」
………

いそいそとファイルに何事か書き込む二人を見ながら、ダンは脱力感に襲われるのを感じながら座り込む。
何だか、もうどうでもいいような気分になったが、
今度は此方を心配そうに覗き込んだアイスマンと視線が合った。
ぐ、と握り拳を作って笑顔を浮かべる。そしてそのまま静かに腰を落として、一閃。

――取り敢えずテメーの所為だ!
何故っ!?


握り拳は、思いの外綺麗に鳩尾へと叩き込まれた。




















(ぐ、ぅ…私、何かしたんでしょうか…)
(良かったねぇアイスマン、あれがダンのデレだよぉ)
(…あの正拳突きがっ!?)


 


09.11.23

拍手

PR

comment

お名前
タイトル
E-MAIL
URL
コメント
パスワード

trackback

この記事にトラックバックする:

TemplateDesign by KARMA7

忍者ブログ [PR]