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absolute zero

DRRR!!、タイバニに首っ丈な小説ブログ

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なぜ一週休んだし

何故、怪レスが今日は無いんだ!と家族で悲しんでいる最中、卯月です。
…おかしいな、家には子どもと呼べる年齢の人は一人もいない…!!


と、いうわけで一週休みなのに耐え切れず小説を打ちました。
あれ、前もこんなこと言った気がす、る…!?
が、今回ちょっと思ったように書けなかったような。まぁいつものことです!
目指せ不思議系!
まったく名前もないようなキャラ視点です。そういうのが苦手な方は注意!














あぁ、憎い。

人通りの少ない公園の隅で立ち尽くしていた私は昼間の出来事を思い出し、一つ舌打ちをした。
近くに放置されていた空き缶を衝動のままに蹴り上げる。

憎い、憎い、憎い。

がしゃん、と空き缶がフェンスに当り、耳障りな音を立てた。
私が一体何をしたというのだ。静かにしているだけなのに、そんな私を嘲笑って楽しいのか。
クラスの奴等が憎い、何もかもが憎い、死ねばいいのに。寧ろ、死ね。
頭上を通り過ぎる鴉。遠くから聞こえる車の音。木々のざわめき。遊具の軋む音。
どれもこれもが耳障り。
あぁ、どうせなら全て壊れてしまえば気にならないのに!
再び空き缶を蹴れば、今度は違う方向へ飛んでいき、ブランコの方へと転がった。
それを追うように首を巡らせると今まで気が付かなかったが、私以外の人が公園にいたようだった。
小学生、高学年らしき子どもの男女二人組。二人は話をしながらブランコに腰掛けていた為、
ブランコがキィキィと軋んだ音を立てていた。
女の子の方はセミロングのくすんだ赤髪に赤の下縁眼鏡。髪の両サイドにピンクのリボンという
可愛らしい容姿をしている。
男の子の方は日に煌めく金髪に翠の瞳という、一度見たら忘れられないような美少年だった。
二人とも楽しそうで、その様子を眺めていると苛々させられる。絶えず鳴り続けるブランコの音も嫌だ。
何か言い掛かりでも付けて公園から追い出してやろうか、
そんな事を考えた私は二人に気付かれないよう少し近付く。
結果、二人の会話の内容が鮮明に聞こえるようになった。

「――ん、アンコ、その鞄に付いてる人形は?」
「あ、これ?お土産に貰ったポプリ人形だよ」
「あぁ…通りでラベンダーの香りがすると思った」

一寸いい?と男の子が手を伸ばすと、女の子は快く承諾して人形を手渡す。
暫く眺めていた男の子は有難う、と述べて人形を返した。
二人までの距離を着実に詰めていた私が声を掛けてやろうと更に一歩踏み出した時、
男の子が突然、心底楽しそうな声で女の子の名前を呼んだ。思わず足を止めて固まってしまう。

「ラベンダーといえば――黒いラベンダーって知ってる?」
「黒いラベンダー?」

なにそれ、と聞き返した女の子が少し顔をしかめた。
まぁ、語感からあまり良い意味ではなさそうなのは予想出来る。
耳障りでしかなかった会話だったが、ほんの僅かだが興味が沸いた。
それ以上近付くのを止めて息を潜めた。

「枝の付いたラベンダーを真っ黒に塗り潰して行う呪詛だよ」
「……呪い?」
「そう。その枝を振りながら三回『悪霊よ、その黒いラベンダーのもとに集え。その姿を表せ』と唱えて、
深夜に呪いを掛けたい人の玄関前か家の前に誰にも見られないように埋める。
するとその家の住人は精神的に苦しめられるらしい」
「…何で詳しいの」
「偶々さ。最近買った本に呪詛についての記述が多くて」

だから、何か違和感を感じたりしたらまず玄関先や庭を探すといいよ。
そんな事を笑顔で宣った男の子に対して、女の子がしかめっ面で「そんなの、
見付からない方が嬉しいけどね」と述べた。というか、呪いに詳しい(恐らく)小学生男子に、
顔をしかめながらもその話を慣れた様子で普通に聞く小学生女子。
最近の子供の間では心霊とかオカルトとかが流行っているのだろうか、末恐ろしい。
そう思いながらも私は尚も聞き耳を立てる。

「まぁ大抵、他人を呪おうなんて考えてる人は聞き齧りとかで実行するから成功しないんだけど」
「あ、やっぱり失敗とかもするんだ」
「それはそうさ。さっきの黒いラベンダーだって、作ってしまったら次の日までに
相手の家に埋めに行かないと、自分の家に悪霊を呼んでしまうって言われてるし…」
「…失敗って、そういうのなんだ」

何だか聞きようによっては物騒な会話を続ける二人から、近付いた時と同様にこっそりと距離を取る。
あの二人に八つ当たりをしようなんて気分はとっくに無くなっていた。寧ろ、きっと眉唾だろうが、
割と面白い話を聞けたので感謝したいくらいだ。
ブランコに腰掛ける二人から充分に離れたと判断した私は、私とその二人以外いない公園をそっと後にした。






そう、呪いだなんて非科学的な事、実際に起こる筈がない。
ない、が――














      何時もと同じ様に、ショウくんと下校していた私は珍しく(悲しいことに珍しく!)普通の雑談を
      二人で交わしながら歩いていた。
      話すのに夢中になっている私に、ショウくんがクスリと笑って「前を見ないと危ないよ」と一言。
      ちゃんと見てるからへいき、と返しながら交差点の角を曲がろうとした途端、
      その角から曲がってきた誰かと正面からぶつかってしまった。

      その瞬間、風に吹かれてか、ふわりと花の香りが辺りに漂った。

      私より大きい人とぶつかったらしく、弾かれるように後ろへよろめいた私の背中に、
      転んだには軽すぎる衝撃が走る。咄嗟に瞑った目を開けてみると、
      私を受け止めたショウくんが安堵の息を吐く様子が見えた。

      「アンコ、大丈夫?」
      「え、あ…うん、ごめんね!」

      突然の事態に驚いて、私は慌ててショウくんから離れたが、その様子を見ていたらしい、
      私とぶつかってしまった女子高生らしきお姉さんに笑われてしまった。
      何だか二つの意味で恥ずかしい。

      「ぶつかってご免なさい!余所見してて、」
      「あぁ、謝らなくて大丈夫よ。こっちも考え事していたから」

      急いでるからゴメンね、と優しそうな微笑みを浮かべながら告げたその人は足早に行ってしまった。
      すれ違った時に、また花の香りが鼻を掠める。とても覚えのある、強い香り。
      あの平たい革の鞄の中に花が入っているようには見えないのに、
      一体何処から香っているのか――残り香のようにも思えたので服、だろうか。
      それにしても、何の花の香りだったっけと考えを巡らせたが答えは直ぐに出てきた。
      最近話題になったばかりの花の名は――












 






(…ラベンダー好きの人なのかな?)(あんなに香りが染み付くくらい…)
 



10.2.9

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ショウアコ

  • みのり 
  • 2010/02/09(火) 22:55
  • edit

ラベンダーのお話、ちょっとぞっとしました。
私もどこかで聞いたことがあります。
たとえ呪術が成功しても「人を呪わば穴二つ」結局自分の元に倍になって帰ってくるものですよね。
人を陰気臭くこっそり呪うのであれば、言いたいことを本人にぶつけたほうがいいですよね・・・
アコをかばうショウが素敵でしたv
更新を楽しみにしております!

あの…

  • 七瀬 
  • 2010/02/10(水) 01:53
  • edit

ショウくんに、萌えました…。
今回のはとても本編っぽい話でしたね。ラベンダー、さっそく試したいと思います。嘘です。

しかし本当に何故、一週休むしwww

呪詛、ダメ、ゼッタイ

  • 卯月 
  • 2010/02/10(水) 18:42
  • edit

>みのりさん
毎回見ていただいて、本当に有難う御座います…!
今回ちょっと、唯のセットな感じがしてるなぁ、と思った結果が最後のシーンです。実は駆け寄ったとかそんな文章を入れたかったとか、ないんだか、ら…!
もっとショウに色々させればよかったと思います(爆)

>七瀬
早速試しちゃダメだ!ダメ、ゼッタイ!!
本編ぽいとか、本編に申し訳が立たないのでそれもダメ、ゼッタイ!
とりあえず次回も楽しみですね、七瀬さん(何)

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