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absolute zero

DRRR!!、タイバニに首っ丈な小説ブログ

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五つ目にして頭悪いタイトルが出てくるってどういう

今回は五つ目の話でギャグが書きたい!と思い勢いだけで書いた話です。
珍しくカイトっぽい話だけど内容は残念な結果になっちゃった…
一応お題の『ご飯を奪われるご主人』にリンク貼ってるけど添ってるのか微妙です。ご飯じゃないじゃん。








「ご馳走様でした」
「はい、御粗末様でした」


両手を合わせて日本人なら誰でも言う感謝の言葉を告げると、カイトも言葉を
返す。綺麗になった皿を見て満足気に微笑んだカイトはその皿を片付け始めた。
もう大分慣れたのか、始めた頃と比べて家事を行なう手際が良くなった。日毎
に上達していく様は見ていて気持ちがいい。
最近ネットで料理のレシピを大量に覚えたらしく、俺の代わりにカイトが夕食を
作ってくれるようになった。別に料理は嫌いじゃなかったし、自炊している内にそ
こそこ上達はしたが、今やカイトが作る料理の方が俺のよりも美味いので全て
任せてしまったのだ。人を極端に嫌うから買い物は俺が行くんだが。
しかし、正直言って毎日夕食を食べるのが楽しみで仕方ない。それだけ美味いの
だ、本当に!


「マスター、何を一人で笑っているんです?不気味ですよ、ソレ」


何かリクエストしようかなー等と考えていたら一通り食器を運び終えたカイトが
表情も変えずにそう言い放った。本人的には注意しているつもりなのだろうが、
もう少し別の言い方があると思う。確かに一人で笑ってる人がいたら不気味かも
しれないが、やたら顔のいい人にはっきり言われるとかなりショックが大きい。


「…何かいつも拗ねてますよね」
「…拗ねてねーよ」
「それはともかく、台所にスプーンが用意してあったんですけど片付けていいんですか?」


カイトが二本の小さいスプーンを見せてくれた時、思わず声を上げてしまった。
絶対に忘れると思って夕食前に出しておいたのだが、案の定忘れていた。出して
おいて正解だったが、テーブルに移しておけばよかった。
不思議そうな顔をするカイトにスプーンを持たせて待たせたまま、台所に向かい、
仕事帰りに買って冷凍庫に入れた物を取り出して戻る。買い物の時に思わず買っ
てしまったアイスクリームで、しかもハーゲンダッツだ。アイスを食べる時はいつも
ガリガリ君な俺にしては奮発したと思う。
持ってきた二つの内、一つをカイトに渡すと、何だか真剣に渡されたソレを眺めて
いた。観察するように様々な角度から見続ける様子はまるで子供みたいだなんて
思い、小さく笑う。
自分の分の蓋を開けていると、今まで真剣にカップを眺めていたカイトが顔を上げた。


「マスター、何ですかコレ」
「…あれ、お前もしかしてアイスを知らない?」


予想外の言葉に思わずそう聞くとカイトは左右に首を振った。


「データとしてアイスクリームは知ってますよ。実物は初めて見ました」
「…じゃあ食べた事ないのか」
「そうなりますね」


勉強がてら様々な動画を見てからまるで刷り込みのように『カイトはアイス好き』の
イメージが強くなった為、反射的に買ってきてしまったが、家のカイトが好きとは限
らない事をすっかり失念していた。某動画サイトの影響力たるや、恐るべし。
自分の考えの無さに打ち拉がれている俺に目もくれず、カイトはパッケージを一通り
見てから俺がしたように蓋を緩慢な動作で外す。そのまま蓋を置いたので、うっかり
勿体ないから蓋をくれ、なんて言いそうになったがなんとか止まった。
カイトは俺が持たせっぱなしだったスプーンでアイスを一匙掬って口に運んだ。
のだが。


「………」
「…あ、れ?カイト?」


カイトはスプーンを口に含んだまま微動だにしなくなった。
固まった。まさにその表現が正しい感じがする。
まさかフリーズしたのだろうか、と段々恐ろしくなって体を揺さ振ってみようかと考え
たが、その前にようやく動きだしたカイトがゆっくりとこちらを向いた。取り敢えず異常が
無かった事にほっと胸を撫で下ろす。
カイトが苦手なら後で一人で食べようと思い、溶ける前に冷凍庫にしまおうとカイトが
手に持つハーゲンダッツを持った途端、腕を掴まれた。


「待ってください!」


腕を掴む力が異様に強い。寧ろ痛い!
ひぎゃあ、と思わず悲鳴を上げると少し力が弱まる。あのまま握られていたら腕が
曲がっていた気がする。けして大袈裟ではなく!


「な、何、カイト…お前苦手っぽいから片付けようと――」
「苦手じゃありません、凄い美味しい!」
「うん、無理して食べるのも…ええええっ!?」
「だから片付けないで下さい!」


カイトの必死の剣幕に押されて、カップから手を離すと腕を掴んでいた手を放してくれた。
嬉しそうに黙々とハーゲンダッツを食し始めたカイトを見ながら、『アイス好き』の
認識は間違っていなかったと改めて思った。が、紛らわしい感動の仕方をするなと
言ってもやりたい。
やれやれと小さく溜息を付いて、自分のハーゲンダッツに手を伸ばそうとしたが、
今まであった場所に無いことに驚愕する。折角自分のご褒美用に買ったハーゲン
ダッツだというのに無いとはどういうことだ。
まさかと思って首を巡らせると、案の定、二つ目のカップを持ったカイトが満面の
笑みを浮かべてこちらを見ていた。


物凄くイイ笑顔だったが、逆にそれがイラついた。


「ちょ、おま…誰が二つ食っていいと言った!」
「…えへ」
「えへ、じゃねぇぇぇ!返せ俺のダッツ!」
「でも、もう食べちゃいましたし」
「おま、早…ってかふざけんなぁぁぁ!」

 



その後も何度かアイスをせがまれたが、もう当分買ってやるものかと思った。




08.3.31
 

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