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absolute zero

DRRR!!、タイバニに首っ丈な小説ブログ

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どうしてこうなった

最近色々と浮気性、卯月です。
何がって、色んなアニメにひゃっほぉぉう!ってし過ぎてジャンルが定まらないからです。
まぁ、好きなものを書けばいいんだろうけど…
あ、こっそり拍手も増えてます。怪レスだけど!

何の話かといいますと、最近周りがデュラデュラ言い過ぎてて、感化されてしまいました。
前から成田さんの小説は好きだったが…首で二次やる気になるとは思いもしなかった。


DRRR!!小説です。臨帝で、す…?いや、微妙!













困った、実に困った

処狭しと建ち並ぶビルを見上げてぼんやりと立ち尽くす。
一応、行き交う人の邪魔にならないように自販機の隣に移動して街を眺めていたのだが。
片手には学校帰りに立ち寄ったスーパーの袋。今日の晩御飯用の食材やらが
入っているので割と重量があった。

困った、実に困った。

学校帰りにスーパーへ寄ったのは良かったのだが、少し欲を出したのがいけなかった。
だって、まだ日も高くて、暇を持て余していたのだ、しかし、いい加減荷物が重い。
歩き通しで疲れたので、隣に鎮座している自販機でお茶を買おうと
百二十円を入れてボタンを押した。そしたらコーラが出てきた(……何故)(良く見たらこの自販機、
角がへこんでる)
別に嫌いなわけでは無いが、今の状態で炭酸水なんて更に喉が渇きそうなんで止めておいた。
手に持っている訳にもいかないのでスーパーの袋に適当に放り込む。元々重い荷物が更に重くなった。
今日は何だかツイてないなぁ、と溜息を吐く。

困った、実に困った。

買い物帰りに少し散策して行こうなんて思ったのがまず間違いだったのだ。
人の多い場所に未だ不慣れな人間が、しかも池袋を、一人で。ここまで不吉なワードが並べば
誰もが思い付く末路はたった一つしかない。

要は、完全に迷子になったのだ。

まだまだ知らないことの多いこの街を更に知りたくて始めた散策だったが、
段々と帰り道が不安になってきた辺りで一度戻ろうと思ったのだ。が、そこで既に道を間違えたらしく、
歩けば歩く程知らない場所に出てしまうという悪循環に陥ってしまった(元々、初めての場所で
迷いやすい体質なのに、)
一応、迷ったという自覚を持った時に(不本意だけど!)電話とメールで紀田君に助けを求めたのだが、
未だに返信すらない。「いいか帝人、困ったら何時でも連絡するんだぞ!」なんて言ってたクセに
肝心な時には連絡出来ないってふざけんなとか思ったりもしたが、悪いのは迷った自分だ。
紀田君は悪くない。
しかし、頼みの綱の友人と連絡が取れないとなると実際問題どうすればいいのだろうか。
他にアドレスや電話番号を知っているのは園原さん――には絶対に、連絡する訳にはいかない。
後はセルティさん――こんなことで迷惑掛けるのもどうだろうか。
せめて誰か知り合いに会えないかなぁなんて淡い期待を抱きながら、
携帯の画面へ落としていた視線を見知らぬ人で溢れる雑踏へと戻そうとして、

「…………え、と」

何故か、見覚えのある人と至近距離で目が合った(……何故)(こんなに近くに居たのに気が付かなかった)
ファーの付いた黒いジャケットに黒のズボン、髪も瞳も黒。
上から下まで黒ずくめの彼は何が楽しいのか解らないが、浮かべる表情は笑顔だった。

「はぁい、久し振りだねぇ竜ヶ峰帝人君」
「…折原、さん」
「折原さんって言いにくいでしょ?臨也でいいよ」
「…はぁ」

にこにこと笑う臨也さんはそれはそれは楽しそうに、此方に近付けていた顔を離す。
何時からいたんだろう、と思いながらも軽く会釈をした。

「…どうも、張間さんの件以来ですね」
「そうだね」

まぁ、チャットで割と会話してるけどね。
そんな事を言いながら僕の目の前でくるり、とジャケットの裾を靡かせながら回る。
初めて会ったときも思ったが変な行動する人だ。
別に人の行動に口を出す気は無いが、人の視線が刺さって痛い。

「…で、帝人君はこんな来良から大分離れた場所で何してるの?」

首を傾げながら核心に触れる質問をされ、思わず肩が揺れた。
確かに知り合いに会えたらと期待はしていたが、この人に知られたら、
何となく駄目な気がする(何となく、勘で)(紀田君も気を付けろって言ってたし)
けれど、今のところ他に代替案が無いので、少し躊躇ったが素直に今の状況を伝える事にした。

「……学校帰りに少し散策をしてまして」
「うん」
「……一頻り歩いたら帰り道が解らなく、なってしまいまして」
「つまり迷ってるんだね」
「……はい、それで、あの」
「案内してあげようか」
「え、」

道を教えてくれませんか、と続く予定だった僕の言葉を遮って臨也さんから発せられたのは
願ってもない申し出だった訳で。まさかそんな返答が戻ってくるなんて予想もしていなかったので、
思わず口から驚きの声が漏れた。
勿論、思いっきり臨也さんにも聞こえてしまっていて、その反応が気に入らなかったのか眉を潜められた。

「あれ、何、その反応」
「……僕、お金無いですよ」
「この間は面白いもの見せて貰ったし、心配しなくても金なんて取らないから。来良まででいい?」
「は、い…」

僕の返事を聞くや否や、くるりと踵を返した臨也さんは、見知らぬ人が溢れかえる中へと
何の躊躇いも無く歩いて行ってしまう。見失っては困るので、慌てて後を追った。
平均かそれより身長が低い僕と臨也さんではコンパスに差があって、しかも雑踏の中だった為、
追い付くのは容易では無かった。けれど、途中で思い出したように臨也さんが立ち止まってくれたのと、
意外と目立つ黒のジャケットのお陰で何とか見失わずに後ろに付くことが出来た(臨也さん、いいひとだった)
(失礼なこと思ってすいません、)
兎に角、再び見失い掛けないように前を行く黒い背中をしっかり視界に入れながら歩いていると、
突然その背中が眼前に迫ってきた。対応が遅れた為、勢い良く顔から背中にぶつかってしまう。

「ぅわ…っ!」
「………やっべ、」

ぶつかった瞬間、小さく呟かれた言葉が気になって、痛む鼻を押さえながら前を向いた。
何故だか立ち止まってしまった臨也さんを怪訝に思いながら見上げた時、
急に胸の辺りを押されてバランスを崩し、地面へと倒れ込んでしまった。あまりに突然過ぎて
理解が遅れたが、どうやら突き飛ばされたらしい(なんで突然、)(卵、無事かな…)
打ちつけた頭が痛むのを感じながら立ち上がるとと同時に、派手な音を立てながら大型の何かが
目の前へ落ちてきた。地面のコンクリートを砕いてめり込んだそれは、
赤い、自販機だった(…その場に居たら、危なかった)
その陰から出てきた臨也さんが少し焦った顔をしながらジャケットの裾を叩いていた。
どうやら自販機直撃は免れたらしい。
しかし、流石に無傷という訳ではなく、コンクリートの破片が当たったのか右の頬に赤い筋が
走っているのが気になった。

「――いーざやーくぅーん?」

地の底から響くような声が自販機の飛んできた方向から聞こえてくる。
今度はそちらへ首を巡らせると、バーテン服を着た金髪の男が道路標識を片手に
此方へ向かってくるのが見えた(平和島、静雄さんだ)(…あれ、これ死亡フラグ?)
ざぁ、と自分の血の気が引くのを感じた。

「なーんで今日に限ってくるのかなぁ、シズちゃん…!」
「オメーは池袋来んなって言ってんだろうが、死ね!」

ずかずかと平和島さんが此方へ足を進める度に僕と臨也さんの周りから人が遠退いていく。
わぁ十戒みたい、なんて半ば現実逃避を始めた時、腕を突然掴まれたかと思うとそのまま
平和島さんがいる方向とは逆の方へと引っ張られた。

「帝人君、走って」
「え、な、うわぁぁぁ!」
「逃げんな、いざやぁぁぁ!」

一触即発な二人が揃った段階で巻き込まれる形での死を覚悟したのだが、
まさか臨也さんに連れられて逃げる事になるとは。あのまま第何次か解らない池袋戦争に発展しようが
臨也さんが退却しようが、僕は放置されるものだとばかり思っていた(臨也さん、やっぱりいいひとだった)
(本当にすいません)
心の中で密かに謝罪を繰り返した僕は、臨也さんに手を引かれるままにその場を後にしたのだった。
…背後から迫る怒声を聞きながら。









入り組んだ路地裏を何本か抜けると流石に撒いたのか、あれほど響いていた平和島さんの声が
何時の間にか聞こえなくなっていた。臨也さんもそれに気が付いたのか漸く歩を緩めると、
掴みっぱなしだった僕の手を離して胸を撫で下ろしている。
走り続けた所為で息も切れたし横腹も痛むが、何はともあれ追い付かれなくて本当に良かったと思う。
しかし、逃げるためとはいえ路地裏を何本も抜けた今、きっと此処が何処だか益々
解らなくなってるんだろうな、と思って僕は辺りを見渡した。

「……あ、れ?」

全く覚えのない風景が見えるだけだと思っていたのだが、その予想は見事に外れた。
学校帰りに通っている道に何時の間にか出ていたらしく、自分の中で日常と化している風景が
そこには広がっている。漸く帰ってこれた、と思ったと同時に、一気に今までの疲労が押し寄せてきた。
尤も、押し寄せて来たのは疲労だけではなく、わくわくするような高揚感のような感情と一緒で、
知らず知らずの内に自分がにやけている事に気が付いた。臨也さんが此方を向いたときに慌てて
口元を引き締めたが、間に合ったのかは僕では解らない。
が、特に気にした様子も無かったので見られなかったのだと思っておくことにした。

「この辺りからなら解るんじゃない?」
「は、はい。此処からなら帰れます」

本当に有難う御座いました、と頭を下げながらお礼を言えば、相変わらずにこにことした顔のままで
「シズちゃんに出会した時に置いてこうかと思ったけど、そんなことにならなくて良かったね!」とか
言われた(やっぱり置いて行く予定だったんだ!)
結果的に何の怪我もなく案内してくれたし。そこまで考えて、自分は無傷だが臨也さんは軽くとはいえ
怪我を負っていた事を思い出した。

「そう言えば右の頬、大丈夫ですか?」
「え、うわホントだ、キズ出来てるし。シズちゃんマジサイテー!」

僕の指摘で右頬を押さえた臨也さんは今気付いたらしく、傷を確認した後に思いっきり顔をしかめていた。
情報屋は顔だって重要なのに、とか本気か冗談か解らない言葉を小さく呟く様子を見ていた僕は
唐突にあの存在を思い出して、ビニール袋を一旦地面へ置いてから制服の胸ポケットから
生徒手帳を取り出す。もしもの為にと入れておいたが、
その存在自体をすっかり忘れていた(実際に使うなんて思ってなかったし)

「臨也さん、そのまま」
「え、」

僕の声に反応した臨也さんが丁度頬から手を離した格好でピタリと動きを止めた隙に、
今取り出したそれ――絆創膏を傷の上から貼り付ける。綺麗に貼ることが出来た絆創膏に
満足感を得て、思わず小さく頷いた。
そんな此方の行動を呆然と見ていた臨也さんが自分の頬に貼られた絆創膏を指でなぞる。
それを見て、貼ってもいいか聞いてから貼るべきだったかなぁ、と僕は少し後悔した。
しかし、指以外の動きを止めたままだった臨也さんが突然僕の頭に手を置いた。
意図も見えず脈絡のない行動に驚いたが、振り払うのも悪い気がして大人しくしていると、
今度はそのまま撫で回される。流石に嫌だったので顔をしかめれば、
何故か心底嬉しそうに笑われた(…何故)

「帝人君って面白いね」
「と、突然何なんですか臨也さん!」
「何って…うん、気に入った、かな」

触り心地もいいし、シズちゃんの所に置いておかなくて良かったかも。
笑いながらそう呟かれ、僕がその意味が解らずに臨也さんを見上げると同時に頭から手が
離れていくのを感じた(…何で残念そうな顔してるんだろう)
何か、してはいけない事をやらかしてしまった気分だ。

「じゃ、またシズちゃんに見付かりたくないから帰るね」
「そ、そうですね!見付かったら今度はケガ一つじゃ済まないかも…」
「そしたらまた絆創膏、貼ってくれる?」
「…そんな約束はできません」
「えー、残念」

また怪我をする事が前提みたいな言い方が気に入らなくて少しぶっきらぼうに答えてしまったが、
またしても真意の判別が付きにくい、茶化すような言葉が更に返ってきた。何をさせたいんだこの人、
と思った時には既に臨也さんは近くの横断歩道を渡り終えていた。器用に白だけ踏んで。
信号機が赤になって自動車が行き交う道路の向こうで振り返って手を振った臨也さんが薄く
口を開くのが見えた。


またね、帝人君


とても綺麗な笑みを浮かべて一言、音としては聞こえなかったが確かにそう告げた臨也さんは、
僕が何か返事を返す前に人混みの中へと溶けるようにいなくなってしまった。
あれだけ人混みの中でも目立っていた筈なのに、まるでその場から消えたみたいだった。




…相変わらず何を考えてるんだか解らない人。

臨也さんが向かったであろう方面をぼんやりと眺めていた僕は、
今までうんともすんとも言わなかった携帯の着信音で我に返った。
何事かと思って確認すれば、紀田君からだった。メールには一言、
『帝人、いまどこ!?何が見える場所にいる!?』とテンパっているのが窺える文が送られてきた。
解決直後に送られた遅すぎるメールに一瞬、明日まで無視してやろうかという考えが過ったが、
心配させるのも悪いので『もう大丈夫』とだけ打って返信しておく。
送信しました、と表示される画面から視線を離して空を見れば、真っ赤な夕焼け空。
ほんの少し散策するだけだった筈なのに、もうこんな時間になってしまった。
予想外の出来事ばかりが起こったが、正直、楽しかった。





またね、と言ったあの人に次に会うのはいつだろうか。
何故そんなことを言ったのか解らないが、会うことがあるなら、
また非日常へと連れ出してくれるに違いない。良い意味でか、悪い意味でかは知らないが。
どちらにしろ、普通では体験できない事だということに変わりがないのだから。

















(…まさか、ツイてないどころか厄日だったなんて)
(またね、って言ってから毎日来るようになったんだけど、あの人…!)

 



10.3.1

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