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absolute zero

DRRR!!、タイバニに首っ丈な小説ブログ

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訳が分からなくなったので

逃走を図る、卯月です。
前回の臨也版がどーのとか言ってましたが、書いたら訳分からん話になったんだぜ!
言い訳をするなら臨也が…臨也が理屈でどうにかするタイプだから駄目なんだ!
書きにくいったらありゃしないのです。すいません、言い訳です。




 













「愛してる」

何度口に出したかも忘れた愛の言葉に帝人君は「そうですか」とただ一言だけ
返してくれた(相変わらず、つれない)
俺に背中を向けて座る帝人君は何かぼんやりと宙を見て、手元の携帯へ視線を戻してしまう。
彼にとって携帯が大事なのは解るが(彼の防衛手段だし)それでも見向きもされないのは腹が立った。
と同時に胸が微かに傷んだ気がする。
帝人君の背中越しに携帯を覗けば、どうやら受信メールを見ているらしく、
『ビデオを借りたんだが一緒に見てくれないか』と表示されていた。
こんなお願いするのはどうせ首無しライダーだろう(自分が非現実な存在の癖にホラーに弱いって、
訳が解らない)
メール本文を表示していた画面は返信画面へと移り、あっさりと承諾の返事を打ち込んだ帝人君に
更に腹が立った俺は、思わず彼に向かって腕を伸ばしていた。油断していたのか、
いとも簡単に彼の携帯は俺の手の中へと納まった。
何するんですか、と不満を顕にして此方を振り向いた帝人君が俺の目を真っ直ぐに見据える。
確かに彼は俺を見ている筈なのに、瞳に俺は映ってはいなかった。
その瞳を見詰める事が出来なくなって視線を逸らせば、もう送信するだけの状態だった画面が見えて、
躊躇うこと無く電源ボタンに指を掛ける。そのまま長押しし続けてから、
近くに丁寧に畳んであった布団の上へと放り投げておいた(本当は壊しちゃいたかったけど、)

「愛してる、帝人君」

先程と言葉自体は同じだが、今度ははっきりと彼の名前を呼んで抱き寄せる。
彼は抵抗らしい抵抗をせずにあっさりと俺の腕の中へと納まった(さっきの携帯みたい)

初めは興味本意だった。
田舎から上京してきたごく普通の高校生。そんな彼がダラーズというトンチキなカラーギャングの
創始者だなんて、そんな面白そうな子を手中に入れたくて思い付いた手段が籠絡だった。
男を口説くのは初めてだったが、彼は可愛い顔をしていた所為か嫌悪感は無かった。
寧ろ、学の無い馬鹿な女を相手にしているよりも帝人君といる方が遥かに楽しかったのを記憶している。

いつ頃だったか忘れたが、中々靡くことがなかった帝人君と会っている内に、
彼ではなく此方の感情に大きく変化が表れた(気付いたのは遅かったが)
当初は『ダラーズの創始者である男子高校生』という人間を手に入れようとしていたが、
何時の間にか『竜ヶ峰帝人』そのものが欲しいと強く願うようになっていたのだ。
全人類(シズちゃん以外!)に分け隔てなく愛を注いでいた俺にとって、一人の人間、
しかも子供に執着を持ったということが前代未聞な訳で。
柄にもなく本気で彼に告白したりもした(本当にあの時は余裕が無かった)

彼の返事は「僕も、貴方が好きです」の一言。

しかし、長い間人間を観察し続けていた俺は誰よりも人の感情にも敏感だった。
悲しい事に、帝人君は嘘を吐いていると気付いてしまったのだ(気付きたく、なかった)
腕の中にいた帝人君が徐に俺の背中に手を回し、ぎゅ、と抱き締め返してくれた。

「愛しているんだ、帝人君」

否、嘘は吐いていない。彼は確かに俺に好意を抱いてはいた。
正確には『折原臨也』という個人ではなく俺に内包されている『非日常』に好意を抱いている。
要は、俺が彼を『人間』というカテゴリーで見ていたのと同じで、
今の彼は俺を『非日常』というカテゴリーでしか見ていなかったのだ。
だから、俺が暗躍していた事や紀田正臣にした仕打ちを知っても帝人君は俺への態度を
何一つ変えなかった(怖いくらいに、何も)

変わったのは『折原臨也』の言葉が届かなくなった事ぐらい。

「僕も、愛していますよ」

俺の腕の中から顔を上げた帝人君が、さっきから俺が繰り返していたものと同じ言葉を口にした。
全く同じ言葉の筈なのに、その意味はあまりにも違い過ぎた。

なんてすれ違った両思い。

もう一度だけ、『折原臨也』の言葉が通じるように今まで以上に帝人君をきつく抱き締める。



「……あい、しているんだよ、みかどくん」



キョトンとした顔で此方を見詰める帝人君を見て、絶望的な気分に陥った(あぁ、人を騙していた代償が
此処で巡ってくるなんて)
俺は信じてもらえない愛の言葉をただひたすら囁いて、何か言いたそうだった帝人君を
腕の中できつく抱き締め続けた。


















(嘘を吐きすぎた少年は狼に食べられたけど、)
(嘘を吐きすぎた青年は絶望の中で生き永らえるのか)
(知らないままならシアワセだったのになぁ)




10.4.17

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