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absolute zero

DRRR!!、タイバニに首っ丈な小説ブログ

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話を打ってて、しまっちゃうおじさんを思い出した

実習近くて鬱になってきました、卯月です。
なんか、最近忙しすぎて小説打ったりとか、趣味に手が回りません。
…否、PSP遊戯王でタッグデュエルとかしてるから時間がないの、か…!?
安定して勝てるデッキの構成、凄く知りたいので誰か教えてくださry



それはともかく。
前回がなんだか自分でも「誰だお前!」と言ってしまう程、甘い話だったので変な話に挑戦。
結果、しまっちゃうおじさんの話になりました。しまっちゃうよー、どんどんしまっちゃうよー!
反動って恐ろしい。しかも訳の分からない話になるから輪をかけて恐ろしい!















腕は後ろ手に拘束され、目には布を宛がわれている。
視界が遮られているから今の自分が何処にいるのか、どんな状況なのかも正確に判断出来ないが、
揺れる感覚とエンジン音から察するに車に乗せられているらしい。何処に向かっているかなどは
知る義もないが。
頭の何処かで警告音が鳴り響く。普通に考えて、今の状態はヤバいに決まっていた。

この状況。此れではまるで、

(誘拐、人拐い、拐かし)
(どれも変わんないけど…兎に角『誰かに連れ去られてる』みたいだ)

危険だと本能が告げる割には驚く程、冷静な思考がそんな事を考える。

人拐いが出る、なんて噂されていたのはもう半年程前であり、
拐われるのは不法入国者や家出した子供など。そのどちらにも当てはまらず、
しかも割と人通りの多い道を歩いていた僕は完璧に油断をしていたのだ。
しかし、仮に注意深く周りに気を付けていたとしても多分あっさり拐われていただろう。それくらい、
僕を襲った犯人の手際は良かった。

そんな犯人だったからこそ、今、僕は次の行動に困っていたのだ。

固い感触がするから、僕が横たえられているのは後部座席ではなくワゴン車辺りの荷台部分らしい。
進行方向から察するに、右の壁を背に転がされていた(さっき手が壁にぶつかった)
目隠しをされているから確認は出来ないが、運転をしている犯人から見て
此方は死角になっているんじゃないかと推測出来た。
見えていない、その想定で僕は後ろで纏められた腕を何とか動かしてズボンのポケットまで
移動させた。指先が固い物にぶつかる感触。

(――携帯)

持ち物の中で、唯一奪われていない物が携帯電話だった。ただ単にポケットを見落としていたのかは
知らないが、確認した時に僅かだが安堵した。
しかし、用意周到で手際の良い犯人が携帯なんて見落とすだろうか。何か意図があるのでは、と
考えると迂闊に動いてはならない気がする。

(でも、行動しなかったら確実に最悪な結果が待ってる)

意を決した僕は細心の注意を払って音を立てないように携帯を引っ張り出して画面を開く。
手探りで操作し、メール入力画面を呼び出した(見えないから多分、だけど)
件名なんて打っている場合ではないし、入力ミスも怖い。

(取り敢えず本文に一文だけでも打って、)
(――あの人に送らなきゃ)

たった四文字、『たすけて』とだけ打った筈のメールを送信ボタンを押して――







運転席で、聞き覚えのある着信音が鳴り出した。







場の雰囲気にそぐわない軽快な音楽とは裏腹に絶望的な気分にさせられる(まさか、まさかまさか!)
(だって、この着信音は)
急に失速した車が静かに停止した。ぎしり、と犯人が移動したからか、
車体が揺れる音に大袈裟なくらい体を震わせてしまった。

「――あぁ、嬉しいなぁ!」

今まで何も発する事が無かった筈の犯人が、
それはそれは嬉しそうに笑いだす(なんて聞き覚えのありすぎる笑い方)
それと同時にするり、と後頭部に手を回された。視界を遮っていた布を外そうとしているようだ。
嫌だ、と言いたいのに声が出ない。
布を外されたら、もう、気付かない振りが出来ない気がして(手遅れになってしまうような、)

「俺に助けを求めてくれるなんて。拐って来ちゃって正解だったなぁ!」

はらり、と無情にもあっさりと布を外される。
久方ぶりに光を取り入れた視界が写したのは恍惚とした表情をした人の姿。
その手には僕のメールを受信したであろう携帯が収まっていた(何で、貴方なんですか、)

「い、ざやさん」
「あぁ、御免ね、帝人君。こんな手荒な真似しちゃって」
「いざやさん、どうして」
「だけど、君がいけないんだよ?俺が君をこんなに愛しているのに君はその他と俺を平等に扱うから、」

もう、君を閉じ込めちゃうしか無かったんだよ。

ぞっとするくらい綺麗で、それでいて狂気を孕んだ顔をしながら僕の耳元で囁いた臨也さんが
ふにゃりと破顔した。酷く幸せそうな表情で未だ体を強張らせたままの僕の頬を撫でる。
その手はとても優しいのに、何か得体の知れない物みたいで怖かった。

「でも、帝人君が俺を真っ先に頼ってくれるくらい想ってくれていたなんて。
 もっと早く拐っちゃえば良かった」

そう言って楽しそうに、愉しそうに笑う臨也さんの紅い瞳が暗い狂気の光を湛えて輝いた。



――まるで、僕を逃がさないと言っているように。


















(愛故に壊れた男と気付きかけても知らない振りをした少年)
(さぁ、本当の愚か者はどっち?)





10.5.14

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