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absolute zero

DRRR!!、タイバニに首っ丈な小説ブログ

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発掘してから再構築

相変わらずのレポート&テスト地獄続行中、卯月です。
来週…来週を乗り切ればゲームが出来るんだ…っ!二本も!(爆)
取り合えずディーバ楽しみです。
アマゾンざまぁ!な事にならなきゃいいけど…




で、久しぶりの小説は相変わらずデュラ。
実習前から眠ってた書き途中の物に手を付けたら、何時も以上におかしな事になりました。
なんだろう。臨也ヘタレ期に突入…?










「やぁ、帝人君。今帰りかい?」
「……どうも、臨也さん」

帰宅途中の帝人君が紀田正臣と別れたのを見計らって、恰も偶然を装いながら声を掛けた。
実際には登下校の時間は勿論、果ては起床や就寝時間までを把握していたが
褒められた行為であるのは重々承知している。よって、余計な事は言わないに限る。
しかし、俺の姿を認識した途端に然も面倒だと言いたそうな表情を浮かべた帝人君は、
当たり障りの無い挨拶を俺に返してくれた。
直接何か言ってくることは無いが、頭の回転が速い彼の事だから何かしら
勘づいているだろう(まぁ、こんな頻繁に会ってたら偶然じゃないって頭悪いヤツでも解るよね)
解っていても無視は出来ないのか、程々の距離で律儀に対応してくれる帝人君は本当に
今時には珍しい良い子だと思う。だから俺みたいなのに付け込まれるんだよ、と
彼への忠告を心の中で留めておいた(卑怯なのも重々承知してるしね!)

「折角会ったんだ、一緒にお茶でもどう?」
「丁重に遠慮させて頂きますね」
「えー、甘味も付けるよ」
「…っ、残念ですけど、今日は本当に大事な用事があるんです」

甘味という単語に決意が揺らいだのか、少し動揺した様子が見られたが直ぐに持ち直してしまった。
何時もなら何だかんだと言いながら甘い物に釣られて来てくれるのに(此処で折れないなんて、珍しい)
帝人君にとっても色んな意味で美味しい誘いを断る程の用事とは何なのか。彼の事だから、
紀田正臣、若しくは園原杏里絡みの用だろうと予想を立てたが、
先程の道で紀田正臣と別れたばかりというのが腑に落ちなかった。
帝人君は一度家へ帰ってしまうとあまり外へは出たがらないから。

「俺を差し置いて誰かと会う約束かな?相手によっては全力で邪魔するけど」
「いいえ、人と会う予定はないですけど…というか差し置いてって何ですか」
「俺以上に必要な事があるのが気に入らないだけだよ」
「…清々しいくらいに自己中心的な考えですね、貴方は一体何様ですか」
「臨也様」
「そんな冗談に付き合っている暇は無いので失礼しますね」

聞かれた事に答えていただけだというのに、呆れ顔でその場を去ろうとした帝人君を引き留めるべく、
彼の進行方向に回り込んで無理矢理視線を合わせる。
目の前に立たれて足を止めざるを得なかった彼は瞳を逸らすこと無く此方を真っ直ぐに射抜いた。
見た目は常にオドオドとしていそうな草食動物タイプなのに、
怯えるでも無く今みたいに真っ向から相手に対峙し毒を吐く様子はとても好ましい。
此れだから彼の相手は楽しいのだ。
焦りと怒りをない交ぜにした表情を浮かべた帝人君が珍しく声を荒げて俺を呼んだ。

「いい加減にしてください、本当に急いでいるんです!」
「人に会うわけではないのに急ぐの?矛盾してないかな」
「してませんよ!早くしないと卵のタイムセールに間に合わなくなるんですから!」
「………は?」

一瞬、彼が何を言っているのか解らずに思わず間の抜けた声を発してしまう。
否、言っている事は解ったがその言葉を目の前にいる、
下手すれば中学生にも見える彼が発した事が信じられなかっただけで。

「…卵の、タイムセール?」

反復するように聞き返せば、然も当然の様に頷かれた。

「序でに言うなら、トイレットペーパーも安いです」














嬉々とした表情で完璧にキャパを越えているスーパーの袋を持って歩く帝人君の隣を、
俺もくそ重たい袋を持たされながら並んで歩いた(こんな重い物持ったの、学生の時以来じゃないかな)
お一人様一パック限り、という買い占め防止の一文を掻い潜った帝人君は
念願の格安卵を二パックも手に入れることが出来てご満悦だ。掻い潜ったと言っても、
ただ単に人を無理矢理、卵を持った状態で長蛇の列に並ばせただけなのだが。
こんな筈では無かったのに、俺はそんな事を思いながら右手の荷物を握り直した。
本来ならば、用事があろうが無かろうが喫茶店まで連行して、差し障りの無い会話をしながら
帝人君を観察して、次に会う約束でも割と無理矢理取り付けようなんて考えていたというのに。
予想もしていなかった帝人君の反応に喜ぶ反面、年下の少年にいい様に使われている現状に
不満も抱いていた(だって、人を使うのは俺の専売特許だよ?)
不貞腐れている俺に気付いたのか、上機嫌な帝人君が満面の笑みを浮かべながら此方を振り向く。

「すいません、臨也さん。買い物に付き合わせた挙げ句、荷物まで持ってもらっちゃって…」
「…顔と言動が合ってないよ?」
「それも、すいません。どうしても嬉しさの方が上回っちゃうんです」
「そりゃ良かったねー、俺は何だか損した気分だよ」

臨也さんから話し掛けてきたのに理不尽な、とか小さく呟いていた帝人君が
暫く考え込んだかと思うと、何か思い付いたのか直ぐに顔を上げた。

「臨也さん、卵料理はお好きですか?」
「…普通に食べるけど」
「じゃあ、手伝って下さった御礼に晩御飯でもどうですか?」

この卵をご馳走しますよ。
そう言いながらスーパーの袋を軽く掲げて此方に見せた。

本当に、上手く使われているみたいで癪に触る(だって、完璧に飴と鞭みたいなものじゃん!)
しかし、たったそれだけで機嫌が浮上してしまう辺り、俺も安上がり過ぎた(…彼限定だけど)

「…こんだけ俺に労力を使わせたんだから、勿論美味しいやつを食べさせてくれるんだよね?」
「まぁ、善処はします」

俺の労働費は高く付くよ、と暗に告げている俺の言葉に可愛い顔で苦笑した帝人君が
実に可愛くない返答を返す(畜生、質が悪い)
たかが高校生の一挙一動に振り回されるなんて俺らしくもないが、
彼相手ならそれも面白いかも、なんて末期な考えが過る。大事なことなので何度も言うが、
本当に俺らしくは無い。

(何れだけ知っても把握しきれない)
(なんて恐ろしく、なんて面白い子なんだろうね!)

俺の目の前を歩く帝人君の背を見詰めて、俺は小さく微笑んだ。
止まってると置いてきますが、と振り返った帝人君に促されて、
夕暮れ色に染まる彼を追い掛けるべく再び荷物を抱え直したのだった。



















(…しかし、そんなに生活費に困ってるなんて知らなかったなぁ)
(また手伝わされたら堪ったもんじゃないし、何かプレゼントしようかな…)
(ていうか、いっそ俺の家に住めば良いのに)





10.7.23

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