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absolute zero

DRRR!!、タイバニに首っ丈な小説ブログ

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掲載許可があったので



霧咲から頂いた、ちび蓮珠。載せていいって言ってたよ、ね…?
携帯の写メなので見難い事この上ありません。霧咲ごめんよー
こんな可愛いの描いてくれるなんて思わなかったんですが…あれ、初期イメージはクール系だったのに…?

こんな素敵絵を頂いて、勢い余って小説なんて書いたんですよ。
一応霧咲のみ持ち帰り可、と表記しておく。言ってくれれば携帯に直接送るヨ!(うざい)
ある意味無理矢理送りつけているもののような…









「――ここ、は…?」


自分が見慣れた居間に佇んでいる事に気付いて辺りを見回す。何をしていたの
かを思い出そうとしたが、見回す内に辺りの風景がはっきりとせず薄ぼんやりと
霞んでいるのが見えた。所々、映りの悪いテレビみたいに滲んでいる。
不思議に思って何時ものテーブルに触れてみた。触れた瞬間に周りの空間がブ
レる。
体験した出来事のメモリデータを整理する事によって起こる、スリープモードの
間にいくつかの出来事を意識体が勝手に再生するという現象。風景にブレがあ
るということは、恐らくその現象が起こっているのだろう。


「記憶再生の割に、空間構築が曖昧なんだけど…」


誰に告げるわけでもないが、声に出して呟いた。バグの類かもしれないと思い、
ざっと自分の状態を確認した時に気が付く。よく考えたら普段は客観的な場合が
多かったのに、自分で動ける状態なのも珍しかった。
現在の家が構築されたということは最近の記憶の筈だ。折角だからマスターを探
そうと廊下に向かおうと振り返ろうとした時、俺の首元に巻かれているマフラーが
後ろに引っ張られている気がした。


「マスター?」


他に心当たりが無かったので呼び掛けてみたが、返事がない。
嫌な予感がした。
あまり振り向きたく無かったが意を決して後ろを向き、引っ張られているマフラー
の先を目で追うと見上げてくる大きな瞳と視線が合う。瞳の位置はちょうど俺の腰
辺りか、それより若干下っぽかった。
想定外の出来事に思考回路がショートしかける。やはり何処か、バグが出てしま
ったのだろうか。
――機能がフリーズした俺の前には、どこか見覚えのある小さな子供がいた。

 



「――えっと…名前を聞いてもいいですか…?」


警戒心の欠片もない幼子に向き直った俺は取り敢えず曖昧に微笑みながら質問
してみた。勿論、目線の高さを合わせる事も忘れずにだ。
動揺のし過ぎで敬語のまま尋ねてしまったが、質問の意味を理解したのか幼子は
眩しいくらいの笑顔を浮かべた。
正直、そのどこかで見たことあるような顔立ちからか可愛いと思う。


「なまえー?」
「そうですよ。…もしかして蓮珠って名前だったりとかは」


一緒に笑いながら返事を聞く前に質問を変えると、にこにこしていた幼子が呆気
に取られたような顔をする。


「どうしておにいちゃん、ぼくのなまえ知ってるの?」


期待を裏切らない展開。寧ろ否定して欲しかったが、目の前にいる子供の容姿も
確かにマスターのものと酷似している。本当に変わらずに成長したんだな、という
のがよく分かった。…否、可愛いというより美人に成長したのだから一応変わった
のだろう。
俺のマフラーが気に入ったらしく、ずっと握り締めたままの小さいマスターの手が
今度は俺の手に伸びる。思考を一端止めて顔を上げると邪気の無い瞳がこちら
を見つめていた。


「おにいちゃんは?」
「はい?」
「なまえ!」


なまえなまえと連呼されて名前を問われているのだと気付く。…子供って何が言い
たいのか理解が出来ない。


「カイトです」
「かとー?」
「かと…っ!?カ・イ・トです!」
「かいとー?」


はっきりと一音づつ発音して名前を教えると小さいマスターは九官鳥のように復唱
した。舌っ足らずだが、一回目と比べると正しく発音出来ているので肯定の意を込
めて頷くと小さいマスターは嬉しそうに頻りに俺の名を呼んだ。何度も呼ばれると
何だかむず痒い気分になってきたが、別に嫌ではない。敢えて言うなら、両端を
握られたままのマフラーが段々首を絞めてきている。幾ら子供でも体重を掛けら
れるとマフラーが音を上げるか、首が妙な方向に曲がる可能性があって怖い。


「かいと、あそんでー」
「遊んでって…ちょ、マスター!駄目ですぶら下がったら!」
「ぶらさがっちゃだめー?」


きらきらした目で俺を見る小さいマスターは言うことを素直に聞いてくれたのか、マ
フラーから手を離して床にちょこんと座り込む。
離してくれた事よりもその座った時の動作が異様に可愛く見えて思わず顔を背け
た。…ショタは好みではない筈だったのに。
どうにか顔を戻してから正面を向く。


「かいと、あそんでー」
「別に構いませんが…何するんです?」
「おうた!」
「…歌?歌ってほしいんですか?」


マスター=歌は苦手の方式が成り立っていた俺が咄嗟にそう返すと、小さいマス
ターは眉を八の字にしながら首を振った。


「ちがうー、一緒にうたう!」
「一緒に…?」


信じられない気持ちで呟くと小さいマスターが頷く。困惑しながら首を傾げていると、
マスターがどこか調子の外れた音の童謡を歌いだした。うろ覚えなのか、それとも
やはり生まれながらにして歌が苦手だからなのか、所々違う音を出しているが心か
ら楽しんで歌っているのが分かった。


「かいともうたうの!」
「は…はい、歌えるか分かりませんが」


童謡なんてあまり聞かないのでうろ覚えだが、二人で沢山童謡を歌った。俺の分
からない所はマスターが、マスターが外した所は俺が補いながら歌うと伴奏もな
いけれど不思議ときちんとした歌に聞こえる。


造られてからというもの、歌は聞いて貰うものとしか考えていなかったが、誰かと歌
う事もこんなに楽しかったなんて思いもしなかった。
声が響く度に、自然と笑みが零れる。相変わらず小さいマスターは音を外していた
が、そんなものは些細な事でしかなかった。


暫く二人で歌い続けていたが、突然小さいマスターがぴたりと声を止めてこちらを
見つめた。怪訝に思い、俺も歌うことを止める。
気が付くと、若干ぼんやりしていた風景が更に薄くなっていた。


「かいと、おしまい」
「え…」
「このままぼくのゆめにいるとかいと危ないから」


小さいマスターがそう言うと、周りの景色が歪んだ。



「また、あそんでね」



眉を八の字に曲げて笑う表情は子供が浮かべるようなものなく、どこか哀しそうで。
俺も楽しかった、と伝えたくて。また歌えるからそんな顔をしないで、と伝えたくて
マスターに手を伸ばし――

 




モードを移行してから七時間が過ぎたのか、自動的にスリープが解除された。
今までの事が夢だとは理解出来るのだが、今まで例の無い現象だったからか、何
だか不安になってくる。マスターがいなくなってしまったような錯覚が俺の中を渦巻
いた。
まだ起きていないかもしれないがマスターを探しに行こうと思い、慌てて上体を起こ
そうとしたが、右腕に違和感がある事に気付いて横を向いて驚く。


俺の真横でマスターが俺の腕を握ったまま眠っていた。


「マスター…」


ちゃんといた事に安堵しながらも、何も掛けず転寝の状態で眠るマスターを見て思
わず呆れたような声と溜息が口から出てしまう。それに反応したのか、マスターは
微かに身じろぎをしたが、起きる気配はない。
取り敢えずこのまま放っておくと風邪を引いてしまうので起こそうと思った。

 


起きたマスターから俺と同じような内容の夢を見たと聞かされるなんて、今の俺に
は想像も付かなかったのだった。




08.5.11

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comment

いいよっていったぉー

  • 霧咲 
  • 2008/05/11(日) 22:46
  • edit

まさか小説ができるとは…っ!
まさかの事態に驚き。
そしてちいさいマスタががかわゆすぎるよ。

あざっしたー!

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