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absolute zero

DRRR!!、タイバニに首っ丈な小説ブログ

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オチもなければ意味もないという

たったこれだけのものを書くのにえらく時間がかかる今日この頃。
まぁ、違う話を平行して作ってるからこういうことになるんだろうけれど…
前回同様、アホでオチも何もない話ですよー









ある暑い日の昼下がり。
連日続く猛暑に辟易しているらしいマスターが暑い、暑いと上言のように繰り
返しながら畳の上に寝そべっている。そんなに暑いなら口に出さなければい
いのにと思ったが、どうやら口にしているという自覚がないようだ。
現在の気温は38℃まで上昇しているのを確認した。確かに暑いか暑くないか
で言えば暑いのだろう。
自分も温度を感じる事は出来るのだが、暑さで故障していたら元も子もない。
そのため一定の気温を超えるとパーツを冷却させる機能が優先されてしまい、
そこまで暑く感じなくなってしまうのだ。
冬の時は寒いと素直に告げた記憶があるので、俺が何も言わない事に疑問
を持ったらしいマスターがずるずると床の上を這って俺に近づいてきた。見目
麗しい青年が床を這って動く姿はあまりにシュール過ぎて、正直逃げたい。
…何となく生物に例えるならば、蛞だ。


「かいとー…お前その格好で暑くないの…?」


蛞…否、床を這うマスターが俺の足首をがしりと掴む。段々とシュールな光景
を通り越してホラーな感じになってきた。
どうでもいいが、何で足首を掴むのだろうか。


「この状態じゃ他にとどかないから……あれ?」


俺の足を掴んだまま突っ伏して妙な声を上げたマスターが急に上半身を起こ
した。手はそのままだったので俺は体勢を変える事も出来なかった。
暫く足を掴んでいたが、やがて何かに納得したのか、掴んでいた手が外され
る。が、寝そべるのを止めたマスターが今度は俺の手をしっかりと掴んでしま
った。
冷却機能の所為か、冷えた俺の手がマスターの手の熱を徐々に奪っていった。


「カイト、お前…体がひんやりしてる」
「まぁ、元々体温もあまりありませんし、体を冷却させる機能が付いてますから」


そう告げるとマスターの表情が途端に不機嫌な物に変わってしまう。あれだけ
暑いと騒いでいたので、これくらいの変化の予想は出来ていた。
こういう時のマスターは子供みたいに顔に出るタイプなので言わんとすること
が手に取るように理解出来る。とにかく、俺に対して『ずるい』と言い出しそうだ。
ありありと目に浮かぶ光景に俺が思わず苦笑した時、不機嫌な顔をして黙り
込んでいたマスターが顔を上げた。


「…ずるい」
「何がですか?」


想像していた物と同じその一言に吹き出すのを堪えながら、何がですかなん
て聞き返したが、理由なんてもう知っている。


「俺だけ暑い思いをしてるのがずるい!お前にも暑い思いを……」


そこまで言ってマスターが口をつぐんだ。
少し考え込むような表情に、どうかしましたかと声を掛ける。次の瞬間には何か
思いついたらしく、きらきらと輝いた顔でマスターがこちらを見ていた。…あまり
良いとは言えない兆候だ。


「思い付いた」


何を、と聞くよりも前に突然、マスターが半ば体当たりの形で俺に抱きついてき
た。
普通こういう時はどんなに驚いても何も言わずに抱き締め返すのがいいのだ
ろうが、あまりにも突然の出来事過ぎて体が硬直してしまう。何がしたいんです
かと聞きたいが、うまく言葉にならず無意味に口を開閉するしか出来なかった。
涼しいー、とか俺に抱きついたまま呟くマスターが幸せそうに俺の胸元に頬を
寄せる。
何だこの可愛い生き物…ではなくて、いくら何でも人(ではないけれど!)にいき
なり抱きつくのはあらゆる意味で危ない。と、いうか無防備過ぎるんじゃないか
この人は。
俺の心の葛藤なんか露知らず、マスターは悪戯が成功した子供みたいな顔で
俺を見て聞いた。


「どうだカイトー、暑い?」
「…はい、あついです」


…実際、抱きつかれている体よりも思考を繰り返した頭部のほうがオーバーヒー
トしそうだったのだが、『あつい』事に変わりはないので俺はそう答えておいた。




08.8.17
 

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