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absolute zero

DRRR!!、タイバニに首っ丈な小説ブログ

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毎期、懲りずに言う事

飴はすぐに噛んじゃうのが常識と思っていた、卯月です。
前回の日記でもなんかアニメがどーの言ってましたが、今期は個人的に好きなアニメが多すぎる。

取りあえず、一つだけ言うならば。

TIGER&BUNNYが面白すぎて毎日がつらい。

というか、アニメはやっぱりオリジナルが面白いですね。や、原作付きも面白いの多いけど…
タイバニに至っては、毎週日曜日に新しい話を見て、ピクシブで大量に増える作品を覗いて、火曜日くらいに一周遅れの放送を家族で見て…どんだけ見てんだって話ですけど。
しかし、これほど公式が病気なアニメは珍しいと思う。5話で「俺がプレゼント!」なんて主人公がパートナー(男)に言っちゃうアニメは他に無いだry


と、言う事であまりにも5話付近で滾って、どうしようもなくなって書いた話がこれです。もう、自分は馬鹿としか言えない。
タイトルと中身が合ってないとかも、あまり気にしてはいけない。朝気が付いたら付け足されてたなんて口が裂けても言えなry







ふわりと香る甘い匂い。
甘い物が別段好きという訳でも無いが、芳ばしく暖かい空気に食欲が刺激される。
今まで目を落としていた新聞から顔を上げると、シンプルなエプロンを身に付けた虎徹が丁度、
キッチンからダイニングへと出てきた所だった。その手には湯気を立てている皿が二つ。
鼻歌でも歌い出しそうなくらいに機嫌が良い、様に見える彼は、
そのまま軽い足取りでテーブルに近付いた。
 
「おっまたせー、バニーちゃん」
「…僕はバニーじゃありません、バーナビーです」
「へいへい」
 
癖になってしまった何時ものやり取りをしている間に、
甘やかな匂いをさせるそれがバーナビーの前へと置かれる。
虎徹が持っていたもう片方の皿は、向かいの席に運ばれた。恐らくは彼が座るのだろう。
エプロンを外して椅子の背に掛けていた虎徹が再びキッチンへと消えて行った。
何をしに行ったのかと思えば、戻ってきた彼の手には大量の調味料が抱えられていた。
あからさまに使う必要の無いものが混ざっている気がするが、気のせいだろうか。
 
「虎徹ちゃんお手製ホットケーキだぞー、味わって食えよ」
「………」
「…無反応止めろよ!」

彼が席に着くのを確認したバーナビーは、ダイニングテーブルの上で静かに働き続けていた
古ぼけたサイフォンから二つのマグカップに珈琲を移した。その間にも何やら言っていたが、
一々反応を返していたら疲れるだけなので無視する。暫くめげずに話し掛けていた虎徹も
完全に反応が無いと解ると、不貞腐れた様に口を閉じた。
珈琲を注いだばかりのマグカップの内、デフォルメされたトラが描かれた方を彼へ渡すと、
代わりに角砂糖の入った容器を手に持たされた。普段、珈琲はブラック派のバーナビーに対して、
ブラックは胃に悪いと主張する虎徹は、隙有らば勝手に人の珈琲へ砂糖やらミルクやらを
入れようとしてくるのだ。余計な口は利かなくても、お節介を焼くのは止めないらしい。バーナビーは諦めて、
押し付けられた容器から角砂糖を一つ摘んでマグカップへと入れた。お節介を容認する訳では無いが、
此方が妥協しなければ彼は何時までも騒ぐのだ。
更にミルクを入れようと伸ばされた虎徹の手を叩いて止めながら、カップを口元へと運ぶ。
じんわりと滲むような甘さに、やはりブラックの方が好きだなぁとバーナビーはぼんやりと思った。

「メープルシロップは?」
「バターだけで充分です」

それじゃただのパンだろ、等と呟いた虎徹はバターを塗ったホットケーキの上へメープルシロップと、
何を血迷ったかマヨネーズを大量に乗せ始めた。見ているだけで胸焼けがするというか、
非常に気分が悪くなる光景である。バーナビーは、ホットケーキと呼ぶのも烏滸がましい物質から
自分の前にあるホットケーキへと視線を逸らした。

熱に融かされて皿へと流れ落ちるバター。とろりと黄色い液体が流れる様を眺めていると良くも悪くも
昔を思い出す。その記憶はあまく、しかし蝕むような痛みを伴った。
何度か読み聞かせてもらった本。そう、絵本に出てきたのだ。バターを乗せたホットケーキが。


――正確には、バターと化した虎、だが。


「……おじさん、虎のホットケーキって知ってます?」
「なんだそれ」
「絵本に出てくる、架空の食べ物ですよ」

バーナビーの問いに、虎徹は眉をしかめて訊ね返してきた。ただほんの気紛れで聞いただけだったが、
どうやら知らないようだ。
バーナビーはテーブルに準備されていたカトラリーを手に取り、ホットケーキを一口大に切り分ける。

「主人公を襲った虎が樹の幹を回りすぎて、溶けてバターになるんです。それをホットケーキにして
  食べたから、虎のホットケーキ」
「…どうやったら虎がバターになんだよ」
「さぁ?おじさんも木の周りを回ってみたらどうですか」

バターになれるかもしれませんよ。バーナビーがにっこりと笑って提案したが、酷く嫌そうな顔をされた。
冗談のつもりだったというのに。
大体、虎徹は木の周りなんか回らずとも、空回りすぎてバターになれそうである。
そんなことをバーナビーは何となしに思ったが、口に出したら虎徹の機嫌を益々損ねる事になるのは
目に見えていたので黙っておくことにした。
多分本人だって空回りしている事は理解出来ているだろう。
何時だって、思い描く理想に肝心の行動が追い付いていないのだ。
だというのに困っている人や事件を見過ごせず後先考えず、行動してしまうのは
虎徹が普段から掲げるヒーロー論とやらの所為なのだろうか。しかし、仮にそうだとして、
時に自分の身すら危うくする行動を正義感等という言葉で片付けて良いものなのか。
時折、虎徹が見せる焦燥感の様なもの。酷く何かを恐れているとでも言うべきか。


バーナビーが幾ら考えども彼を理解は出来そうに無かった。



「……バニー?」

答えの出ない思考の海に身を委ねていたバーナビーを呼び戻したのは他でもない、
考え混む原因を与えた張本人で。
急に黙り込んだからか、虎徹は心配そうにバーナビーの顔を覗き込んだ。真っ直ぐに瞳を見詰められて、
居心地悪さを感じてバーナビーは眼鏡の位置を直すと同時に視線を逸らす。あからさま過ぎたかと
身を強張らせたが、虎徹は特に気にすることも無く、再びホットケーキを頬張り始めた。

「で、その虎のホットケーキがどうしたんだよ」
「――いえ、何と無く…何と無く、思い出しただけです」

だから忘れてください。そう告げたが、それで虎徹が納得する筈無い。
しかし、正直バーナビー自身でさえ何を言いたかったのか解らない話の続きを促された所で
話せる訳がなく、不明瞭な言い訳だけが溢れていった。
琥珀の瞳が言葉をはぐらかしたバーナビーを訝しげに窺っていたが、
これ以上何も言うつもりが無く言葉を濁すバーナビーの様子が解ったのか、
特に追及も無しにあっさりと引き下がった。
この上無くお節介な相棒は、それでいて本当に触れて欲しくない事には無遠慮に踏み込んで来ない。
ごく稀に見せる繊細な面が、またバーナビーから虎徹という存在を遠ざける様な気がした。



例えば。
もし、彼が空回り続けバターになってしまったとして――
このホットケーキの様に胃に収めたら、彼を理解出来るのだろうか。
 


馬鹿馬鹿しい、と一瞬浮かんだ考えを一蹴したバーナビーは、
しっかりバターの染みたホットケーキを静かに飲み込んだ。









I want to put you in the stomach.
()



11.05.15

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